2018/08/27
私達の主力商品の沢庵のパリッコリッとした歯ごたえのある触感は大根を天日干しと呼ばれる方法で乾燥させることにより生まれます。大根を自然の力で乾燥させ、もともとの重量の5割以下まで干すことにより、大根本来の甘み、うまみをぎゅっと凝縮することができるのです。ただし、この天日干しには冬の寒風と太陽、風通しの良い広い平野という条件が必要です。こういった条件は都会ではまずできません。これが田舎でしかできない理由の一つです。
また乾燥中の大根は雨に打たれてはいけないため、農家の方々は様々な工夫と労力を使い、大変なリスクの中、太陽と風という自然の力で天日干しを完成させるのです。ちなみに現在日本でこういった天日干しを行ってうまみを凝縮させる製法は沢庵全体の2割程度と言われており、残りの8割は塩漬けによって凝縮させます。コストや手間の面から考えても塩漬けの方が良いからですね。しかしながら私達にとってはこういった昔ながらの方法や自然の力によって生まれる味の方が美味しいと考えていますし、これからもこの製法を守っていくことが私達のこだわりです。
社長である細田幸治は最高の沢庵をこしらえるため、無添加で化学的な調味料を一切使用しない自然の漬け込み原料を3年もの月日をかけ探し出しました。
和歌山県のお米から生まれる自然の糠、海から採れる兵庫県赤穂の自然の塩、北海道で採れた天然昆布、大根と同じく自然乾燥させた柿の皮は和歌山だからこそ良いものに巡り合えました。そして個人的にもお付き合いのある農家の方にわけていただいたこだわりの唐辛子。それらを一切の加工もなくそのまま一緒に漬け込み材料にします。もちろん着色料や保存料も使用しません。
こうすることで大根本来の旨味や甘みを引き出し、その他の材料も素材本来の持つ味わいを引き立てることができ、より一層、自然の味わいが深くなっていくのです。
これは私達自身の味へのこだわりでもあります。本当に自分たちが美味しいと感じるものをつくりたいという思いが込められているのです。
おそらく日本全国でも熟成発酵を経てつくられる漬物は数えられるほどです。現在は冷蔵技術や保存料等の添加物が発達したため、浅漬が漬物の主流となっているからです。
樽の味の沢庵は独特の酸味と自然の風味を最大限に引き出すために180日間以上の期間を樽の中で寝かし、必ず熟成と植物性乳酸菌による発酵を行います。発酵には一定の温度が必要ですし、寝かしておく間は十分な管理も必要となり、多くの手間や場所を使います。この辺りも田舎だからこそできる製法だと思います。
発酵は植物性乳酸菌のチカラによって生じ、発酵食品独特の本格的な旨み、酸味、味の深みが出ててきます。
私達はこういった手間暇をかけるからこそできる味だと考えており、こだわりの一つと認識しています。
ちなみに長期間寝かし、熟成発酵させることから私達のつくる漬物は「古漬け」や「ひね漬け」とも呼ばれます。私達樽の味では素材や製法をひっくるめた総称として「田舎漬け」と呼んでいます。
もともと漬物は冬にも野菜が食べられるようにという長期保存が目的で生まれたものですから、塩を使い、糠を使い、保存を兼ねて漬け込み、冬を越します。そうして発酵したものが本来の漬物だと思います。
時代遅れの製法かもしれませんが自然の素材を使い、そして自然の摂理、法則に基づいてつくられているからこそ本来の自然の味なんです。
化学的な調味料や合成着色料を使用した漬物は確かに安定した製造が可能であり、大量生産に向いています。しかしながら私達はせっかく田舎にいるのだから田舎でしかできない昔ながらの自然本来の味を全国の皆さんにお伝えしたいという思いで田舎漬けをつくっており、樽の味のこだわりを支えている柱の部分でもあるのです。